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2022.10.3

住み良く、長く愛せる古民家に。

 

最近では珍しくもなくなってきた古民家リノベーションですが、実際には宿泊や飲食など商業的に使用されるのがほとんどではないでしょうか。雰囲気を味わうだけならいいのですが、そこで暮らしていくことを考えると住宅としての機能性も重視されます。
住まいとしての古民家リノベーションは、小手先ではできません。古民家の何を残せるかを判断する専門知識と、どう残すべきかを見極める美意識、そして古来の伝統技法を再現できる腕のいい職人が必要です。同時に、現代の快適な暮らしに不可欠な新建材とのバランスが、古民家再生の出来を左右します。

 

 

前回ご紹介したのは繊細な町家のリノベーションでしたが、今回は築120年の力強い商家のリノベーションです。十分な耐震と、毎日生活するところは断熱を、開口部には樹脂サッシを装備し、住空間として不可欠な機能性を補填した上で、そのまま残すところとの調和をもたせました。美しく暮らすことをコンセプトに、古民家リノベーションの醍醐味を存分に盛り込んだプランです。

 

 

まず、木組の天井や、床の間、和室など、日本の伝統的なしつらえをできる限り残しました。そこに、和室では長押の隙間に間接照明を入れ、広縁の床には古民家の風情に馴染むウォールナット材を合わせるなど、現代的なアレンジを加えてスタイリッシュに仕上げています。
天井高が低かったダイニングでは、屋根裏を抜いて5mほどを確保。古材は構造体として見せ、古い窓も残しつつ空間としての調和を図りました。また、スイッチは集約して壁に格納するなど、無機質なものはなるべく見えないよう配慮しています。

 

 

さらに、壁にはクロスを一切使用せず、土壁や漆喰といった呼吸する自然素材にすることで、健康的な心地よさにもこだわりました。土壁には伊勢神宮にも奉納される桑名の川砂や、多治見、豊田、京都など近隣の良質な土を使用しています。古民家の雰囲気に合わせた照明計画では、直接的な照明は一部の廊下のみとし、それ以外は全て間接照明で、柔らかな光による空間の豊かさを演出しました。

 

 

インテリアではリアルスタイルらしく、古民家の伝統建築と現代のモダンインテリアの融合を試みています。アクセントウォールには朱色が映える伊賀森下ベンガラの土壁を、玄関の土間にはUSMのスチール棚を、和室にはデザイン性の高いGAN RUGを合わせ、「トラディショナルな古民家をここまでモダンにできる」ということを体現しました。

 

 

日本の伝統家屋が持つ豊かさを存分に味わいつつ、現代のインテリアも楽しめるモダンな邸宅となりました。この古民家の見学をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。次世代につなげていく建築・インテリアの在り方や、暮らし方の様々なアイデアをご覧いただけます。

 

 

リアル・スタイル株式会社

代表取締役 鶴田 浩

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